グローバルで活躍する技術者の為の英語研修。「カスタマイズ教材開発 × 短期集中コーチング」で、生産技術本部から全社展開へ
- #カスタマイズ教材開発
- #英語コーチング
(左から、アイシン グループ人事本部 人材組織開発部 加藤裕康様、グループ生産技術本部 生技統括部 杉本直紀様、ものづくり革新部 矢川義人様)
導入前の課題・背景
- 今まで海外顧客との技術的なやりとりは通訳を介したり、予め作成した資料を送ったりする事が多かったが、お客様から直接実務者と会話したいと要望をいただいた。
- 技術領域の頻出表現(図面・設備・品質など)は、一般的な単語帳/学習ではカバーしにくかった。
- アイシングループが2030年にめざす姿としての重点取り組み(「プロ人材の成長」「チャレンジの推進」「グループ総合力強化」)の中で、グローバル人材育成を具体施策として前進させる必要があった。
導入および継続理由
- 生産技術の実務で使う単語・例文を取り込んだカスタマイズ教材アプリを、スマホで“いつでも学べる形”で実装できた。
- 多忙でも学習を止めないために、移動中・休憩中などのスキマ時間で学習できる設計が合っていた。
- コーチング受講者が短期集中(3ヶ月)で学習を完走し、英語力と学習習慣の両面で手応えがあった。
導入による成果(コーチング)
- 受講者の平均学習時間:2.6時間/日(※1)
- 受講者の英語力の伸び:GSE平均14.8点向上(※1)(※2)
- 受講者満足度:5点満点中4.6点(※1)(※3)
※1:2023年7月~2025年7月の期間に、プログリットのビジネス英会話コース3ヶ月プランを法人契約にてご受講いただいたアイシン社員様の実績データ(n=19)
※2:教育サービス会社Pearson PLCが運営する英語力診断テスト「Versant English Speaking&Listening Test」のスコア
※3:プログラム卒業時の5段階満足度アンケート調査結果より平均値を当社算出
株式会社アイシンは、自動車部品を中心に幅広い領域で事業を展開し、海外拠点との連携や海外顧客との協業がますます重要になっています。
一方で、生産技術の現場で求められる英語は「一般的な英語学習」だけでは補いにくく、図面・設備・品質など“技術について会話できる英語”の習得には現地に行ってから実務をしながら学び、数か月かかるのが実情でした。
そこで同社は、まず生産技術本部で英語コーチング「プログリット」(以下、プログリット)を導入。学習アプリには生産技術の現場で使う専門用語・例文をカスタマイズし、短期集中のコーチングと組み合わせることで、現地に行く前に日本で技術者の英語力向上に向けた取り組みを開始しました。これまでに19名がコーチングを受講し、現在はその知見を全社へと展開し始めています。
本記事では、生産技術本部で人材戦略を担う杉本様、人事部門で全社の研修企画を担当する加藤様、そしてプログリットを受講し米国赴任を控える矢川様に導入背景と成果についてお話を伺いました。
技術者の英語は「単語」だけでは足りない。現場で直面していた課題
いま、英語力が必要になっている背景を教えてください。
杉本様:海外には多くのグループ会社がありますが、これまで海外に出向や赴任することになっても最低限の英会話レッスンのみであり、それ以外はそれぞれの社員のやる気に任せていました。当然、英語力にはバラつきがあり、海外赴任早々のタイミングでは英語を喋れない社員も多くいましたし、過去に現地に赴任した社員たちも言葉の壁には苦労していました。そこで、この辺りでしっかりと、まずは生産技術本部が英語力を強化したいという考えに至りました。
生産技術部門ならではの難しさはどこにありますか?
杉本様:技術者が現場で使う英語は、一般的な学習だけでは身につけにくいのが実感です。たとえば図面や設備の話になると頻出する表現・文脈があり、そこを押さえないと会議もメールも前に進みません。ところが、既存の単語集や一般的な学習アプリでは、その“実務の芯”に届きにくいと感じていました。
これまで海外顧客とのやり取りはどのように対応していたのでしょうか?
杉本様:英語ができるメンバーが間に入る、あるいは通訳を介す形で対応していました。ただ、ある海外顧客(欧州)から「技術者と直接やり取りしたい」という要望を受け、通訳に頼り続けることにはコミュニケーションのスピードや精度の観点で限界を強く感じました。さらに、海外案件が同時多発的に増えていく中で、特定メンバーだけに負荷が集中する状態も避けたい。そこで「技術について会話できる人材」を増やす必要がある、という結論になりました。
生産技術の実務英語を“教材化”。カスタマイズ教材と短期集中コーチングの組み合わせ
プログリットを知ったきっかけは何でしたか?
杉本様:他社様の事例として、「社内で使う英語を分析して教材化している」取り組みを聞き、当社でも同じ発想が必要だと思いました。そこで情報収集する中で、プログリットさんに辿り着いたのがきっかけです。
導入の決め手は何でしたでしょうか?
杉本様:まず重視したのはカスタマイズ教材アプリでした。忙しい技術者が移動中や休憩中にスマホひとつで学習を開始できることは必須条件でしたし、何より「生産技術で使う英語」をカスタマイズして載せられる点が決め手でした。
基礎コンテンツは残しつつ、生産技術の頻出語彙・例文を加える形で設計できたのが大きいですね。スマホひとつで単語も例文も出てきてオールインワンで学べるアプリと、一人一人に寄り添うコーチングの掛け合わせの効果を実感しています。プログリットのコーチングは、一人一人のレベルに合わせたコンサルティングで、受講者全員が確実に伸びていて。非常に効果的だと思います。
現在、利用はどの程度まで広がっているのでしょうか?
杉本様:カスタマイズ教材アプリについては、生産技術部門だけで閉じるのではなく、工場・調達など他部門にも波及させた方がいいと判断し、現在では全社約4万人に本アプリを展開しています。
英語が苦手でも“現実的に続く形”で3ヶ月走り切れる。受講者が感じた“変化”とは
コーチングの受講者はどのように選定されるのですか?
杉本様:選抜制です。海外赴任や海外業務に関わる予定がある人材を中心に部署内で選抜し、会社として投資する形を取っています。選抜された人に意思確認を行い、やり抜く覚悟がある人だけが対象になります。
ご受講生である矢川様は、もともと英語は得意でしたか?
矢川様:全く得意ではありません。学生時代から避けてきました。赴任の話が具体化して「これはまずい」と思っていたタイミングで、この取り組みを知って申請しました。これがなければ、たぶん本気ではやらなかったと思います。現地に行ってから自主学習で…と思っても、自分一人ではきっとやらなかったと思います。また現地の米国人は、日本人はあまり英語が得意ではないことに慣れていて聞き取ろうとしてくれるので、適当に喋っていても通じているような錯覚に陥ってしまいます。でも、赴任して仕事をする上では、これではいけないと思っていました。
実際に受講してみての感想はいかがでしたか?
矢川様:最初の1週間は勢いで走れましたが、2〜3週目からは「どう習慣化するか」の試行錯誤が始まりました。ただ、毎週の面談と小テストのタイミングが絶妙で、そこで気持ちを持ち直せたのが大きいです。学習時間が取れない週があると、次週の時間の作り方まで具体的に一緒に考えてくれました。私生活も含めて“現実的に続く形”に落とし込めた感覚があります。
実務場面で、変化を感じたことはありますか?
矢川様:北米チームとの会議で、日本人が話す英語は以前より聞き取れるようになりました。米国人の速い英語はまだ課題ですが、「聞けている」という感覚が出たのは大きいです。以前は米国人スタッフとの接触自体を避けていましたが、赴任後は積極的に話しに行こう、という意識に変わりました。
Q. 生活面では変化はありましたか?
矢川様:帰宅後の行動が変わりました。以前はまずテレビを見ていましたが、今はまず学習アプリを開く。食事の前に1時間やってから、という流れができました。時間の使い方が変わったのは、自分でも大きいと思います。
翻訳技術が進んでも、「自分の言葉で話す」価値はなくならないー今後の展望
矢川様を始め、これまで多くの方にご受講いただいていると思います。皆様、自信をつけてグローバルに活躍されているのでしょうか?
加藤様: はい、それぞれ頑張っていますし、当社もバックアップする方法をいろいろと考えています。例えば、赴任や出張がない限り英語に触れる機会がほとんどない点を是正すること。具体的には、他文化に触れたり、異文化交流できる機会を設けたいと思っています。また、社内では評価指標を「TOEICスコア中心」から、実践に即した指標へ見直す議論も進み始めています。
英語学習をする社員が増えることで、社内でのマインド変化や影響などはあるのでしょうか?
加藤様: コーチング受講生のみんなは「自信がついた」と言っています。また、卒業時にコンサルタントから今後の学び方を教わり、学習アプリを活用しながら独学で英語学習を進められそうな手応えも感じています。受講者の周囲の人間も「大変そうだけど、効果がありそう」と、広まっているようです。
杉本様:大変だという大前提はあるのですが、受講した人たちが業務や会議でも目に見えてレベルアップしているので、周囲に良い影響を与えています。この先トライしたい人間も増えていくのではないでしょうか。
今後のプログリットの活用について、どのように考えていただいておりますでしょうか?
加藤様: 海外売上比率の増加によるグローバル化のスピード感が増す中で、本社と地域間での連携の質と量が求められる。そのため、国内にいながらも海外拠点や顧客との連携機会が増加しており、グローバルな視点と語学力を持つ人材の強化が求められています。
いろいろな地域で同時多発的に人材が必要な状況になっているので、「プロ人材の成長」を進めるべく、英語が話せる人材を増やしていきたいと思います。
当社でも翻訳アプリの開発をしていますし、テクノロジーの進化はあると思いますが、海外で人間関係を築き、信頼を得て仕事を動かすには、最終的に「自分の言葉で話す」ことが重要です。だからこそ、技術を受け入れながらも、学びは止めない。そのための環境づくりとして、今後もこの取り組みを広げていきたいと考えています。