マネージャーが英語で方針を語れなければ、組織は拡大できない。キャディが挑んだリーダー層の英語力底上げ
- #英語コーチング
写真左から、永瀬 里奈 様(テクノロジー統括本部 組織開発担当)、
尾上 徹 様(テクノロジー統括本部 VPoE室 室長)、八巻 紘士 様(Application本部 Quote部 部長)
導入前の課題・背景
- グローバル化による組織の分断。エンジニアの約3割が英語話者となる中、言語の壁により言語単位で組織を分けざるを得ない構造的課題があった。
- リーダー層の「結節点」機能の不足。部長・マネージャー陣が英語で直接ビジョンや戦略を伝えられないことが、組織拡大のボトルネックとなっていた。
- 外国籍社員への安心醸成。日本人リーダーが泥臭く英語に向き合う姿を見せることで、マイノリティである外国籍社員に安心感を与えたいという狙いがあった。
導入および継続理由
- 多忙なメンバーが続けるには「やる気」より「管理・伴走」が必要と判断し、コーチング形式のサービスを軸に検討、導入。
- 数ある英語学習プログラムの中でも「やるべきことを確実にやり切らせる」プログリットの学習管理のサポートの手厚さが最終的な決め手になった。
導入による成果(コーチング)
- 受講者の平均学習時間:2.2時間/日。(※1)
- 受講者の英語力の伸び:GSEスコア 平均10.4点向上。(※1)(※2)
- 受講者の満足度:4.4。(※1)(※3)
- 急な英語でのスピーチ対応や海外出張を一人でこなせるなど、積極的にコミュニケーションを図れるようになった。
- (※1):2025年10月~2026年1月プログリットのビジネス英会話コース3ヶ月プランを法人契約にてご受講いただいたキャディ株式会社社員様の実績データ(n=5)
(※2):教育サービス会社Pearson PLCが運営する英語力診断テスト「Versant English Speaking&Listening Test」のスコア
(※3)プログラム卒業時の5段階満足度アンケート調査結果より平均値を当社算出
キャディ株式会社は、「モノづくり産業のポテンシャルを解放する」をミッションに掲げ、点在するデータ・経験を資産化し、新たな価値を創出する「製造業AIデータプラットフォームCADDi」を開発・提供するスタートアップ企業です。
アプリケーションである「製造業データ活用クラウドCADDi Drawer」「製造業AI見積クラウド CADDi Quote」をはじめ、今後もプラットフォーム上に様々なアプリケーションを提供予定です。日本をはじめアメリカ、ベトナム、タイを含む4カ国で事業を展開し、製造業のグローバルな変革を実現していきます。
このグローバル戦略を支える組織作りの一環として、同社が最初に取り組んだのは、組織の結節点となる「部長・マネージャー層」の英語力底上げです 。「英語話者が増える中で、マネジメント層が英語で方針や戦略を直接伝えられなければ組織は拡大できない」という強い危機感のもと、英語コーチングサービス「プログリット」を導入し、多忙を極めるリーダー陣が自ら1日2〜3時間の猛学習に挑戦 。短期集中でのスキルアップに踏み切りました。
今回は、本プロジェクトを推進しご自身も受講者として参加されたテクノロジー統括本部の尾上様、プログラムの選定から運用までをご担当された永瀬様、そしてベトナム拠点との協働チームを率いながら受講されたアプリケーション本部の八巻様に、導入の背景とそこから得られた組織の変化についてお話を伺いました。
「日本語が通じる」という安心感が、成長を止める。組織拡大の影で生まれていたコミュニケーションの壁
英語研修の導入に至った背景を教えてください。
尾上様: テクノロジー統括本部の英語話者は現在3割ほどですが、事業拡大に伴い、今後は世界中から仲間を集める必要があります。そうなった時、日本人がマジョリティの組織では、言語の壁がどうしてもボトルネックになってしまうんです。
これまではプロジェクトを言語ごとに分ける場面もありましたが、それでは組織の柔軟性が失われます。組織をさらに大きくするには、現場の結節点であるマネージャー陣が、自らの言葉で方針や戦略を英語で直接伝えられなければならない、そう確信していました。
もう一つ大きかったのは、メンバーへの想いです。マイノリティである外国籍のメンバーにとって、日本語ばかりの環境は不安なはず。私たちが必死に英語を学び、歩み寄る姿勢を見せること自体が、彼らの安心感や信頼に繋がると考え、英語研修の導入を決めました。
八巻様: 実は3年ほど前にも英語話者が増えた時期があり、有志で勉強会を開くなど試行錯誤はしていました。ただ、当時はボランティア頼みで継続性がなく、担当者の熱量が切れると活動も下火になってしまう……という繰り返しだったんです。
ですが、1年ほど前から英語話者の採用がさらに加速し、いよいよ個人の善意に頼るフェーズではない、という結論に至りました。そこからは尾上、永瀬ら組織開発が中心となり、会社としての本格的な仕組みづくりをスタートさせました。
「甘え」を許さない徹底した並走。多忙なリーダー陣がプログリットを選んだ理由
プログリットを選定された背景について、詳しくお聞かせください。
尾上様: サービス選定にあたって、過去に何度も英語学習に挫折してきた経験から、並走してお尻を叩いてくれる存在がいなければ続かないと判断し、最初からコーチング形式に絞って検討していました。みんな忙しいので、強制的にマネジメントしてくれる人がいないと、仕事が忙しくなった瞬間にフェードアウトするのが目に見えていて、最終的にはネイティブとの英会話レッスンを強みとしている企業とプログリットに絞られました。
永瀬様:実は検討当初はやはりアウトプットの機会を設けるべきだという考えがあり、もう一方のサービスで導入を検討していました。プログリットのアウトプット面のサポートについては、当初は正直解像度が高くなかったんですが、お話しをお伺いする中で英会話レッスンなども含めて受講者のレベルや課題に応じて頻度なども手厚くサポートできると聞き、総合的に見て最も成果が出ると判断してプログリットに決めました。
「1日2〜3時間は不可能だと思っていた」——多忙なリーダー陣を襲った当初の不安
受講前、1日2〜3時間の学習時間を確保することに対して、どのような不安がありましたか?
尾上様: 正直なところ、不安はかなりありましたね。一番は、もし成果が出なかったらどうしよう、というプレッシャーです。組織として投資している以上、自分も含め参加したメンバーが脱落したり、リターンが得られなかったりする事態は避けたかった。
学習時間の確保についても、私自身は1日2時間のプランでしたが、それでも「どうやって捻出しようか……」と。多忙な業務の中で毎日最低2時間を積み上げることが本当に可能なのか、そこに対する不安も本音を言えば大きかったです。
八巻様: 私も同じです。今でも2時間半英語学習をやっていますが、最初は平日2時間、週末は3時間というスケジュールでスタートしました。やはり一番の不安は、その膨大な学習時間をどうやって日々の生活の中にこじ開けるか、という時間の捻出に尽きました。
実際に学習を開始されてから、多忙な中でどのように時間を捻出し、継続してこられたのでしょうか?
尾上様: 始めてみて驚いたのは、自分がいかに無駄な時間を過ごしていたかが浮き彫りになったことです。例えば、寝る前に何となくYouTubeを見ていた時間や、朝起きてからコーヒーを飲みながらぼーっとしていた時間。こうした時間の使い方をしていた部分をすべて英語学習に置き替えました。
また、通勤中に英語を聴くのはもちろん、歩きながらシャドーイングをしたり、会食が始まる前の僅かな隙間を縫って学習したりと、生活のあらゆる隙間を英語で埋めることができるようになったのは大きな収穫でした。
八巻様: 私は、精神的な負担を減らすためにも「ながら時間」を徹底的に活用しました。例えば、朝食のパンを焼いている数分間。その短い時間も無駄にせず、iPadでシャドーイングの分析を確認しながら練習に充てています。
食事中や移動中は、口を使う学習はできないとしても、耳が空いている時間はすべて英語に充てる。操作を必要とせず耳だけで完結できる学習メニューを隙間時間に組み込むことで、特別な勉強時間を構えて作るのではなく、生活動線の中に英語を溶け込ませる工夫をしました。
「成長の可視化」と「仕組み化」。多忙なリーダーが完走できた理由
学習を進める中で、特に大変だったことは何でしょうか?時間の捻出や、モチベーションの維持など、振り返って一番の壁はどこにありましたか?
尾上様: 物理的な時間の捻出以上に、数ヶ月間モチベーションを維持し続けるのが壁でした。特に仕事が忙しく学習時間が削られ、週次のテストで目標の数値が伸び悩んだりした時は不安でした。
ただ、そんな中でも諦めずに続けると必ずブレイクスルーの瞬間が訪れます。その変化をコンサルタントが逃さず「劇的に改善しましたね!」と成長を可視化してくれました。おかげで「着実に伸びている」と腹落ちでき、何度も前を向くことができました。
八巻様: 私は不安定なモチベーションには頼りませんでした。やる気を待つと挫折するからです。学習を選択ではなく、生活の一部として淡々とこなす仕組みにしました。
目標に届かない日も、10分でも積み上げ、絶対にゼロにしない。継続に全神経を注ぎました。できない自分に落ち込むより、辞めるのが最大のリスクなので止まらずに次へ進むようにしていました。
受講生同士のコミュニティを作り、お互いに励まし合いながら進められたそうですが、その「仲間と取り組む感覚」は継続の助けになりましたか?
尾上様: 受講生同士のSlackコミュニティは、良い意味での焦りに繋がっていると感じます。例えば他のコミュニティメンバーが毎日2時間半も学習しているのを知ると「やばい、自分もやらなきゃ」と身が引き締まるんです。
VERSANTのスコアも共有しているので、みんなが伸びているのを見て刺激を受けたり、発音のコツを教え合ったり。お互いの頑張りが可視化されることで、一人で取り組む以上のモチベーションが生まれています。今後は、さらにこの横の繋がりを活性化させて盛り上げていきたいですね。
心理的な壁を越え、「英語でなんでもできる」という自信に
多忙な中、定量的な結果として全員が2時間以上/日の学習をやり抜いていただき、受講の平均CEFRレベルもA2レベルからB1へとジャンプアップされました。実際にどのような成果を感じていますか?
尾上様: 英語に対するマインドの変化が劇的でした。以前は英語話者に話しかけるのが怖くて避けていた部分がありましたが、今はその心理的障壁がほぼありません 。先日も駅のホームで困っている外国籍の方を見かけ、躊躇なく英語で目的地を確認し、乗り換えを案内して一発で意思疎通ができました。この小さな成功体験の積み重ねが、今の自分を支えています。
八巻様: 私は2025年12月に、一人でベトナム出張を敢行したことが最大の成果です 。現地メンバーとの1on1から、宿泊手配、トラブル対応まで、すべて自分の英語だけでやり遂げることができました。仕事だけでなく、それに付随するあらゆることを一人で完結できたことは、マネージャーとして大きな自信に繋がっています。
永瀬様: 以前、社内イベントで尾上さんと八巻さんに「英語でスピーチして!」と無茶振りをしたことがあったんです。ところが、お二人とも動じることなく、その場でスラスラと英語で話し始めて。突然の依頼にも即座に対応できるだけの瞬発力が、もうしっかり身についているんだなと驚きました。
受講を経て、社内でのパフォーマンスや周囲からの反応に何か変化はありましたか?
尾上様:週に一度、技術組織全体が集まる『Tech All Hands』という場があるのですが、そこでプログリット受講生が英語でプレゼンをする機会が増えました。以前に比べて発音が驚くほど滑らかになっていて、「全然違うね!」と周囲も刺激を受けています。
八巻様:プロダクト部門など他部署からの視線も変わってきたと感じます。彼らは米国出張など英語を使う機会が多いため、私たちのプログリットで修行している姿をかなり意識して見ているようです。
組織全体に英語に向き合うのが当たり前という空気が広がりつつありますし、実際にアウトプットの質が上がっていることで、グローバル組織としての説得力が増してきたのではないかと思っています。
目指すは「英語で人を動かすマネジメント」。グローバル組織のリーダーとしての覚悟
プログラムを通じて手応えを感じていらっしゃるかと思いますが、最終的にご自身の英語力をどのような状態に高めたいとお考えですか?
八巻様:私のチームは日本語話者と英語話者が混在する、社内でも先駆的なグローバルチームです。この体制を一つのモデルケースにしたいと考えていますが、そのためには英語でのマネジメント力が不可欠です。
日常会話なら、言いたいことが100%伝わらなくてもなんとかなります。しかし、マネジメントとなるとそうはいきません。「こう動いてほしい、これができていないと困る」といったシビアな要求を正確に伝え、相手を納得させなければならない。今後はCEFR B2やC1レベルを見据え、プロフェッショナルとして通用する武器にまで高めていきたいですね。
尾上様: 今後、私たちのテック組織は日本に限らず、ベトナムや他のアジア、欧州へと広がるグローバルのテック組織へと進化していきます。そうなれば、日本語話者はあくまでOne of them(大勢の中の一人)という存在になります。
その環境で組織を作り、採用や1on1を担うなら、英語で相手の真意を汲み取り、行動変容を促すような深いコミュニケーションができなければ仕事になりません。それができないなら自分をクビにするしかないという危機感を持っています。グローバルリーダーとして対等に渡り合えるよう、私もB2、C1レベルへの到達を最低限の目標として掲げています。
今後、組織としてどのような展望を描いていますか?
尾上様: 今後の展望として、まずはマネージャー陣の英語力をCEFR B2・C1レベルまで引き上げ、組織の結節点としての機能を盤石にすることが最優先です。
その次のステップでは、日本語話者と英語話者が混在するハイブリッドなチームを組織全体に広げ、メンバー層の英語力も底上げしていきたいと考えています。将来的にはテック組織に限らず、ビジネス側への展開も視野に入れています。
今のところ国内のお客様は日本企業が中心ですが、事業戦略次第では日本のセールスが米国へ渡ったり、現地のカスタマーサクセスとより密に連携したりする場面も増えるでしょう。どんな組織形態になっても対応できるよう、グローバルな混合チームの形を模索し続けていきたいですね。
AI時代だからこそ、人間の「並走」に価値がある
最後に、プログリットへ期待することがあれば、お願いします。
尾上様: プログリットに価値として感じているのはやはり「並走していただける」ことです。AI時代にコンサルタントがAIに取って代わる可能性もあると思いますが、AIに言われても感情が揺さぶられないし、モチベーションも上がらない。人間が並走して時には厳しく、時には寄り添いながら英語をサポートしてくれることに最大限の価値があると感じていますので引き続き期待しています。
八巻様: 世の中には「すぐできる」「簡単」を謳う英語サービスが多い中で、プログリットは安易な近道を示すのではなく、本質的な課題解決に真正面から向き合う強さがあります。そういった競合が多いからこそ、良さが伝わりにくい難しさはあると思いますが、これからもサービスの質に磨きをかけながら、より多くの人に届いて、広がっていってほしいと思っています。